東北食べる通信10月号取材中。通ったことは数えきれず、取材先としてははじめましての花巻市。日中の岩手は涼しく、生きていく上ですごく快適な気温である。東北地方、当然のことながら秋の進行は毎年早くて、全体的に赤い色が深い。日が暮れてくると、冷たい空気で残照が鮮やかであり、冬がひたひたと迫ってくる独特の寂しさがある。


タカキビの実。岩手県といえば雑穀である。全国生産量の7割を占める。初めて訪れた岩手県花巻市東和町で鮮烈に印象に残ったのが、この実だった。3年前ここから、NPO法人 東北開墾のブランドカラーなりを決めた。寒冷地での稲作が主流になる以前、この土地の主食が雑穀だった。赤は赤と言ってもいろいろあるけれど、北東北を象徴するような色だと思った。

その東和町で30年前に、その字義のまま山を開墾して、パーマカルチャー農園をつくったウレシパモシリの酒匂さんを東北食べる通信10月号で特集する。量を確保できなかった為3年がかりになってしまったが、この畑に来て、なんだかすべてが初心に返ったような気分だ。まだなにも東北を知らなかった頃の、原点のような場所に戻ってきた。

当時、酒匂さんはネイティブエコロジストの一人だと勝手に思っていたのだが、どちらかというと科学者なのかもしれない。今回の取材中、少し考えたのち、さらっと凄いことを言っていたのが頭にこびりついている。酒匂さんの農体験をベースにした、宇宙的なあるひとつの真理についての答えというか、仮説をお持ちだった。安易な形容詞だけれど、あえて凄いと久々に思った。編集長のインタビューの最後に、居眠りかけていた頭が、はっきりと目覚めた。