「ツィピー・ツィピー・ツィピー・ジュクジュクジュク」
シジュウカラを撮った。こいつと向き合っているときに見えてきた。日本の特急列車のエクステリアデザインは、鳥から来ているのだということを。流体力学的に現在の東海道新幹線N700系はカモノハシのクチバシを参考に設計されているという。そういう、自然界の生物がもっている構造を参考にして、新しい技術やデザインをつくり出すことをバイオミミクリーと言う。日本語にすると「生体模倣」と呼ぶのだが、そういうことじゃない。
もっとなにか、四季の自然の中をひた走っている風景のひとつのアイコンとして、メタファーとしての鳥なんだなと。子供が描きやすいように目のようなものがあって。クチバシのような鼻のようなものがあって。というのも、妹島和世がつくるとかいう西武鉄道の新しい特急の姿は許せないのだ。テレビの前にフタをつけて隠してしまう建築家のようじゃないか。風景の中で、鉄道の存在を完全に否定しているような、建築家妹島和世と、それを採用した西武鉄道よ。おまえたちは黄色いから良いんじゃないか。かつて下肥を運んだ歴史があって、それを想起させるカラーでいいと思うんだけれど。妹島和世よ、あなたの仕事はその自己否定をしようとする鉄道会社を諫めることであり、決してあなたの自己満足を満たすだけの実験の現場に、このフィールドを使ってほしくないんですけれども。(それに、映り込むのは美しい自然などではなく、延々と連なる灰色の住宅街の風景だと思うのだが。)
歴史を忘れさせ、鉄道そのものを否定するような設計は、とてもいただけないと、シジュウカラを撮りながら痛烈に思うのである。
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「風景に溶け込む特急」登場
http://trafficnews.jp/post/49423/
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