5月末のある日、神奈川県西側、開成町の畑で撮影していたとき「ばさばさっ!ドン!」という音と共に目の前に大きなハトが舞い降りてきたように見えた。しかしそれは、ハトにしては妙にディテールが精密で彫りが深く鮮やかに見える。記憶のデータベースを参照するとそれはおそらくキジと呼ばれている生き物ではないかと思うまで数秒。体は反射的にカメラを構え、幾枚かのシャッターを切っていた。構図もくそもないあっという間の刹那の出来事だったが300ミリのレンズのお陰で、タイムラグを乗り越え写真に収めることができた。その後、すごいスピードで走って逃げていった。意外と飛んで逃げず、走って逃げるやつなのである。
キジについて、ちょっと調べてみると、どうやら野鳥としてあちこちの山野に普通にいる鳥らしく、しかもwikipediaによると「愛鳥週間や狩猟期間前などの時期に大量に放鳥される」という。なので、正確には野生化した養殖のキジなんだろう。そういう意味では狩猟の季節が始まる11月頃が旬なのかもしれないと思いつつそんなものは制度上の都合でしかない。
目の前に現れたいま、この瞬間、この出会いが旬なのだろうと思う。きっとエサになりそうな虫がいまたくさんそこらじゅうに湧いて出て来ているんだろう。そしてご多分にもれず、花やトンボと一緒で、繁殖期真っ盛りである。
そういえば仏教では、孔雀が神の一人になっているらしいのだが、なぜ神にまで祭り上げられたのかというと、孔雀はとても悪食で、毒蛇や毒グモでも食べてしまうという。仏教が発祥したインド人達の形而上的(=抽象化する)な考え方だと、人間が食べたら死んでしまうものを平気で消化できる孔雀はすごい=神、それにあやかる。ということになるそうだ。どの生き物がなにを食べているっていう情報から見えることがだいぶ面白い。
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