夏至の日。北半球において、一年で一番昼間の時間が長い頃。先日北海道にて、午前3時頃の空に目を奪われた。空は白み始め、既に夜が明けようとしていた。これが更に北極圏ともなると、この時期白夜となり、日が暮れることがなくなる。まだ季節的には春である北海道は深夜からの霧が立ちこめ、その空気がダイナミックに対流しており、その空気のむこうに白み始めた薄紫色の空と広大な大地があった。大地がうごめいているかのように見え、アイヌはそこにカムイ(神)を見いだしていたのだろうか。しばし呆然と窓の外を見つめていた。
東北でも感じたことの無い感覚だった。本州に比べても北海道は東にあり、夜明けは早い。逆に冬至の頃ともなると、夜になるのが早く、寒く、そして近代までは北の大地は貧困と共にあったのだろう。そんな暗闇の中から、春を迎え、歓喜をもって北国の短い夏のはじまりである夏至を祝うのが北欧の夏至祭なんだそうだ。夏至から九ヶ月後の出生率が最も多くなるという民俗学的調査があるらしく、よっぽど太陽が有り難い土地なんだろうなと、夏至直前の北海道の夜明け空を眺めながら思っていた。
北海道、色彩感覚的には、本州とはまるで別物である。
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