地球大学クリエイティブ 第2回 意味のコンテクストをデザインする
speaker:竹村真一氏×廣村正彰氏(グラフィックデザイナー)
date & place:2008年9月22日
新丸ビル エコッツェリアにて

※ 当記事は筆者が現場で速記した記録であり、聞き間違え等も含めて事実と異なっている場合があります


Earth (Literacy) University, creative #2: Designing a semantic context.
This is the log of the talk session by Mr.Shinichi Takemura and Mr.Masaaki Hiromura. It was happened in Marunouchi in Tokyo on 22 of September in 2008. You can access to the English version from the link here. However, it is automatic translation ,so there might be some miss-translations



竹村
新丸ビルのマークも廣村さんなんですね。

廣村
基本的には紙媒体の平面のデザインをしていたんですけどここすうねんで、空間のデザインの依頼が増えてきた。デザイナーの自分の持ち場から拡張している。たまたま私はブランディングや空間のグラフィックスが多い。

日産自動車デザインセンター

一つは日産自動車デザインセンターのサイン計画なんですけども。ゴーンさんが社長になってV字回復したんですけども、リストラ王なんで東村山の工場も閉鎖したんですけども、デザイナーがバラバラになっていたので、一つにまとめようと。500人のデザイナーを一カ所に集めて、そこの空間デザインのコンペをとりました。部分のデザイン、ハンドルのデザインとか、があるのですけども、そうすると毎日毎日ハンドルのデザインをしていて、車ができあがったときに自分のデザインしたハンドルがくっついたときに、自分がデザインしたデザインだと思えるのかな?と思っちゃったんですよ。一本の線で入り口から三階まで行って帰ってくるという、一筆書きみたいなサインを計画したんですよ。It all start with a single line.って、建物の入り口に日産の方が書いてつけてくれたんですけれど、きちんとコンセプトを解ってくれているなあと思って感動しちゃったんですよ。700人が入れる会議室。毎年流行のカラーがでてくるんですけれどそれを研究しているところとか、アイコンでサインを表現して、それを全部一本の線で繋いでみたんですね。広告とか、我々がデザインをするときに繋ぐってのはよくある手法なんですけれど、ここでは無理矢理にでも繋いでみたんです。

自分が全体の中でなにをしているのかわからなくなってしまう。アメリカでT型フォードを大量生産したときに、一番高い賃金で人を雇うんですけれど、ノイローゼになってすぐに辞めてしまうんですね。モチベーションを保てなくなるんですね。このデザインセンターで一番偉い方が中村史郎さんていうんですけれど、その方の部屋にも繋がっているんですよ、っていう。

竹村
車のデザインって、昔は車のかたちだけを考えていればよかったけれど、現在では素材がどこからきて、どういう形で組み合わされ、最終工程でどうやって分解して、ってことまで考えなきゃならない。そういうトータルのプロセスをデザインしなくちゃならない。

廣村
特に車っていうのはネガティブな材料ばっかりじゃないかと思うんですよ。CO2はいっぱい出すわ、どのような未来を車は築けるのか。自分がどのように関わっていくかっていう。そこに関わっているみんなが考えることなんじゃないかと思う。

横須賀美術館

去年の四月に神奈川県の横須賀市の観音崎灯台の横に横須賀美術館ができたんですよ。僕は出来上がる5年くらい前に、つくるものが税金なのでそれを市民に説明しなくちゃいけないってんで関わってたんですよ。現場にたびたび行って見ていると、東京湾の入り口で船がたくさん通るんですよ。浦賀水道。こんなに見ていて飽きない海は珍しいなと。海の写真自体がマークになればいいなと思って提案したのがそのまま看板として採用された。

学芸員の方に、あまり美術館の中にヴィジュアルが入り込まれても困るんですよ、と言われた。そのときに提案したのが、ピクトグラムというかキャラクターというか、よくわからないんですけれど、このグラフィックは彼、と呼んでいます。言葉を付けなくてもだいたい解りそうだな、というグラフィックを提案しました。僕はデザインを始めた頃にデザインとはかっこいいもの、というものを思考していたんですね。それでいろいろプレゼンをしていたときにとある社長さんにプレゼンしていたときに、どう判断していいかわからないんですよ。そこで女性社員をつれてきて、判断させるんですよ。すごいかわいい!って。それでかわいいを駆逐しなけりゃならないな、と思ったんですよ。しかしそれは違うなと思ったんですね。かわいい、は、かっこいいの上級概念なんじゃないか、と考えるようになったんですね。

竹村
伝えるべき情報をそのまま伝えることが本当にいい情報デザインなんだろうか。その場所にもっといい関係をもっていたい、ということだと思うんですね。

廣村
尾道でやられているユビキタスの話を聞いてね、何段階にも自分がアクションを起こすことによって入っていける、っていうのが本当の情報の深みなんじゃないかと思ったんですね。ゆっくり、スローなデザインと言われたときに、それっていいなあと思ったんですよ。毎日いろんなものをみたりきいたりしてるけれど、発火するポイントってそんなに少なくってね。それは年を取ったからかなと思ったら案外そうでもないんじゃないかと思ってね。

竹村
極端な例で言うと、あしをくじくか骨折してね。不自由なんだけど、その速度になったときにはじめてわかったことがあるんですね。宇宙飛行士でラッセル・シュワイカートって人が、機械が壊れたんで、数十秒間宇宙でぼけっとさせられたんですけれど、そのとき初めて地球って美しいなぁって思ったっていうんですね。スローにならざるをえないところで発見する。それを発火っておっしゃるんじゃないかって思ったんですけれど、普段はとても効率的なことなんだけれど、違う関係が他社との間で生まれてくる。インフォルム、ある秩序とかあるかたちが発見されて生み出されるのがインフォメーションですからインフォルムってのは新しいあり方をデザインすることだ。これがほんとの情報デザインだなぁ、と思ったんです。

廣村
ぎりぎり迷わないようにサインを作ってるんですが、迷ってもいいかなと。それでこんなに美しい海が見れたらいいなって。しかし、私たちに科せられている状況は、スピードアップしろ!と科せられている状況なんですね。そうしなくて大丈夫ですよ、と教えてあげなければならないと思う。

学校って、行ってみるとわりと閑散としてるんですね。埼玉県立大学なんですけど。どこかで人影をみつけたら、どこでも人影が見えるようになってるんです。我々が依頼を受けたりする仕事って、そんなにお金のバジェットが大きくなくてですね、ランドスケープの方と一緒にやりませんか、とか声をかけるとバジェットが大きくなって面白いことができるんですね。

竹村
情報デザインって、人間の体がもってる本来の知覚とか感覚を無視しては成り立たないと思うんですけど、いまおっしゃったように、人間の感覚が一番敏感なのは、そういう人影だったり気配だと思うんですね。別に理論的に考えられているわけではないと思うんですけれど、実はとっても的確で効率的だなと思うんです。砂漠の中のオアシスみたいなもので、情報のありかを探すだけで膨大なロスがあるんじゃないかと思うんですね。

速いデザインは膨大な情報を流し込もうとしてるんですけれど、最小限の材料があればいいんじゃないかと思うんですね。なので、最低限最小限の上質なものを作り出すのが私たちの作業。外でランドスケープをデザインしていて、いろいろ木を植えたりしてると思うんですけれど、サインが強制的にこっちへいけ、みたいになってるのはおかしいんじゃないかと思うんですね。

竹村
創造的に迷うナビゲーション

図書室のナビゲーション

廣村
そうですね。これは図書室のナビゲーション。わからないんですけれど、図書室だと思ってくれ!って感じなんですね。

丸井 北千住 食遊館

3-4年前の仕事。漢字をテーマにした仕事をしようと思ったんですね。漢字っていうのは表意文字なので、一文字の中に意味が込められているんですね。それの片鱗みたいなものを埋め込んであげられないかな、と思ったんですよ。麺の右側をとっちゃってラーメンおいておいてもぎりぎり読めるんじゃないかな、とか、冷の下をアイスクリームにしてもいいんじゃないかな、とか。これを100-200つくってみたんですよ。むりむりもあるんですけれど、ここだけのことならいいんじゃないかなと思ったんですよ。仕事のオリエンテーションのときに、北千住は最近外国人が多いんですよー、とか言われたんですよ。昼間はおじいちゃんおばあちゃんと子供ばっかりで、って。その人達にうけるものはないかな、と思って考えたのがこれだったんですよ。

竹村
これ、外国人にもわかりますね。漢字っていうのは地球の財産だと思ってるんですよ。漢字って地球の中では圧倒的にマイノリティなんですね。エジプトや中近東の象形文字が意味を払拭してね、アルファベットのAって、ひっくり返すと牛の顔なんですよ。牛って意味をそぎ落としてアーって音にして、結果的にユニバーサリティを獲得したんですね。逆に象形文字のルーツを残している漢字は世界性をもてないか、っていうと絵文字としてのユニバーサリティがあると思うんですね。マウンテンとか言われても意味がわからないひとはわからないですよね。でも三本山がやっていれば、世界中の人が山だってわかるんですね。ヴィジュアルランゲージとしての可能性があるのに、日本とか中国だけのものだと思われている。コンピュータデスクトップのアイコンとか、ヴィジュアルランゲージには漢字の概念が入ってきてもいいと思うんですね。漢字をつくるOSってのがあるんですけれど、支字ってのがあるんですけれど、木の上と下、どっちにちょんをつけるか、ってことで「末」と「本」を表現する。けっこうくっついてるんですけれど、もっとやると例えば、即、っていうのは、右にあるのはでっかい口をあけて、祭壇にあるたべものを食いつくとこなんですね、既っていうのは、食べ終わって帰ろうとしているところなんです。現在完了と未来を表現仕分けるという、非常に高度なヴィジュアルランゲージの文法があるんです。漢字は日本人や中国人だけの財産にしていたらもったいない。地球言語としてつくっていっていい時代。僕はそれを先取りしているなって思ったんですね。漢字の体系ってのは、完成されてない。誰かがつくったものってのは、作り替えることができるんじゃないか、って思ってるんですよ。

ちょっと学術的な話をすると、遺伝子を最も少なくして身軽にすると変わり身が早くなるんですね。そっちで進化したのがウイルス。それに対してゲノムって遺伝子の総数をどんどん多くして、植物なんてもっと多いんですけれど、突然変異でがらっと変わることがどんどん難しくなるんですけれど、ちょっとしたことでは変わらない。アルファベットなんてのは、ウイルス戦略なんですよ。逆に言うと26文字では発展性はないですね。漢字は文化遺伝子から、意味を生み出していける。魚辺の文字は全部日本で生み出されたものなんですね。峠なんてのも上と下さえ知っていれば外国人でも意味がわかるんではないかと思うんですが、漢字は未完の体系である。

廣村
えらいいっぱいついてるんですけど、みみなしほういち作戦ていって、空いてるとこは全部うめてしまえっていうふうにやってるんですね。

竹尾 湾岸物流センター

竹尾って紙やさんなんですけども、デザインの世界では有名なのですが。竹尾に物流センターができるっていうんで頼まれたんですけども。最初は入り口付近を綺麗にしてくれとかっていう話だったんですけども、荷さばき場がメインなんじゃないかと思ったんですね。なんでこんなに数字が書いてあるの?って思うんですけれど、遠くから見ていても高さの感覚が見えるんですね。フラットな空間だと距離と高さがわからなくなるんですけれど。ここ高さ7メートルくらいあるんですけれど、三階建てだって思ったんですね。一層、二層、三層って。空間把握って、なんかストライプな線がないと見えないんじゃないかって。これ、すごいローテクでマスキングテープで三回くらい塗らないといけないんですね。

竹村
本当は視覚情報を扱うグラフィックデザインと、建築の間に境界線はほんとはなかったんだと思うんですけれど、本来の境界の無さに、建築に物質性がなくなってきたことで境界線がなくなってきたんでしょうね。イタリアでは建築物か鈍重でかつ保存しなければならないから、建築家がどんどんインテリアの方に寄っていったってのはあるっていいますけどね。日本家屋ってのは、ひとつの畳のある空間にちゃぶだいおけば食堂になると思うし、ふとんをしけば寝室にもなる。そういうOSで動いてきた世界ですから、情報デザインによって空間の意味を変えていけるというような建築のあり方はもっともっと出てきてもいいと思うんですね。

廣村
xLDKとかって、戦後文化住宅で決められたことでしょ。ほんともったいない。なんかそういうことをもう一度決まっていることがほんとに決まっていたのか、とか。ぜんぜん違う見え方をしていたのか、とか。我々もグラフィックデザイナーだからといって安穏としていられなくて、ソフトがあれば誰でもできるので、我々はプロとしてなんでこれをやっているのかと。

NATULUX HOTEL
北海道の富良野の駅前にちっちゃなビジネスホテルが出来たんですね。もともとちっちゃいホテルだったのを、土地改良かなにかで移ったときにやったんですけども。ここのサインに石をつけようと思ったんですね。川辺にいったら石がごろごろあって、ホテルって今とてもローコストでつくっていると、すべてマスプロダクトの均質な素材で出来ていくんですね。そうじゃないものがワンポイントあることで、さっき言った発火点になるといいなと。

竹村
これはどっちかっていうと破れ目ですね。わかりきった世界の中に、破れ目があるような感じだと思うのですが、これは富良野川の石なんですよって言われると、川にいってみようかな、とか。ホテルから出てどう動くかっていうことまで導線が固定されているような状況ですから。

廣村
どこの町にいっても同じ風景だってぼやいていないで、その土地のオリジンみたいなものを感じることができるんじゃないかなって。

竹村
僕の経験で、なんでこの町、こういう風景なんだろう、って思ったときに、その町の風景がどうしてかを教えてくれたらと思ってたんですね。そんなこと知りたい人は郷土博物館にいけばいい、とかね。その風景、その場所が面白いわけであって、もっともっと現場性を持った情報の得られ方ってないかな、って。町の歴史だって、博物館にいかなければならなかったけれど、本、ってメディアができて、本を読むことで意味がわかるようになった。そこでケータイで見れたら、と思うようになったんです。

The Hilton Plaza west

廣村
大阪なんですけど、毎日サインの場所が変わらなければならないっていうんで、ショッピングバック。それに電球をいれただけのものです。つけてみたらなんかほのぼのとしたんですね。工業製品でつくられたものってあんまり感動しないんですけれど、自分たちでつくったものってなんかね。

竹村
僕がぱっとみたときに、人の気配を感じたですよ。どう考えたって、誰かがここにかけてなければ、ないよな、っていう人の介在。どうもいたであろう人の存在感みたいなものを感じるのと、あとこれ商業施設ですよね。なんで人はショッピング空間に行くのかっていうと、とっても気に入ったものがあってそれを持って帰ったときのもの。それがショッピングバックですよね。僕もキャンドルナイトの中でこの手法をつかったことがあるんですけれど、人にキャンドルを持って歩いてもらうために、昔だったらあんどんなんですけれど。人間ホタルみたいでね。

廣村
新宿駅の改装工事をしているときに、JRのサインシステムはとても精緻にできているんですけれど、改装中は間に合わなくて、職員の方がガムテープでサインをつくられていたんですよ。それを見て絶句してすごい感動して、これにはかなわないと思ったんですよ。

竹村
どんな刺激的なクリエイターの仕事って、特に廣村さんの仕事って、とてもいっぱい宿題をいただくような感じがするんですね。ここでみたものは、自分の仕事としてもっと展開しなければないなあと思っていました。

人間を発火させるようにしむけるのが環境デザイナーなんだと思うんですけれど、発火しないデザインばっかりなんですね。人間をバカにしないデザイン。

矢印 意識と行動予測の視覚化

去年銀座で展覧会やったときにいくつかのムービーをつくったんですね。矢印っていうのは面白いなって思ってサインをやることになると矢印たくさんつかうじゃないですか。それで矢印が動いたらどうなるんだろうなって思ったんですよ。人間の頭に矢印をつけて歩いてもらったらどう見えるんだろうなって思ったんですよ。頭に矢印ついてると、興味がある方向に少しぶれたりするんじゃないかなって思ったんですね。

竹村
これ、スペイン人とかいろんな民族でやってみるとすごいバリエーション出で面白いでしょうね 笑