山形県は寒河江市の隣の大江町に去年移住した 稲葉 鮎子 吉田 勝信 邸に一泊。東北に行ってみたいという 市角 壮玄 を連れて。

小学生の頃、山形出身の祖母が祖父の晩酌のときにつくっていた鍋物の味が妙に記憶に残っている。浴衣を着て大相撲を見ながら酒を飲む祖父の姿とセットで思い出す。確か白身の魚が入っていて、さっぱりした味だった。あれはなんだったんだろうとずうっと思いつつ、二年前に亡くなるまでにもう一度食べることはできなかったけれど、鱈(たら)の白子というヒントはもらっていた。

集団就職で十代の頃に東京に出てしまった祖母がつくる食べものの味付けは、お雑煮にしてもほぼ東京風で、あまり地域的特色のない人だと思っていたが、亡くなってから、そういえばあけびが好きだったなあなどと、断片的に山形の食べものが出てくる。そんな謎の白身魚の鍋の正体は、どうも「どんがら汁」と呼ばれている鍋物だということがわかった。

特に誰に教えてもらったわけでもないので、レシピだけを頼りに材料を買ってきてつくってみる。出汁は飛島のアゴ(飛び魚)と、あらめという海藻でとった出汁に、酒粕と味噌と塩で味をつけ、メインの具は鱈の白身と白子である。これは山形県内ではこの季節どこのスーパーにでも「どんがら汁セット」として売っているようだ。野菜は、里芋と白菜と葱。一言でいうと、冬の日本海のある断片を切りとったような味。

鱈はこの季節、日本海から最上川を遡って、江戸時代においても山形県内全域に流通していた。こちらでは冬の保存食としてつかわれる昔ながらの味。

東京生まれの母は、山形の閉鎖的な空気が嫌いだったようで、一度も祖母の生まれた家に行ったことはないし、母が山形の味付けを継承することはなかったけれど、一度なにかの拍子に味わったものは強烈に意識の奥底に定着するようで、探しているといつか必ず原点にたどり着くもののようだ。

どんがら汁
http://www.rdpc.or.jp/kyoudoryouri100/recipe/recipe/060205


ああなるほど、ルイスポールセンのペンダントライトは確かに雪国に合う。けれど照明というよりはかなり暗めの灯りの彫刻なんだな。これを灯りだと思って買ったら間違いそう。光量確保は別途照明が必要。でもここにはとても合っている。