しじみというものが放つ独特の艶やかさがある。おそらく、湖面から出てきた瞬間のしじみは、こんな、ぬめっとした、黒光りした姿をしているのです。まだ半分湖水に浸かっているしじみ。(撮影:黒田知範)彼はおそらくシャッターを切った瞬間、これが表紙として使われることになるだろうなどとまるで思ってなかったと思いますが、このぬめっとした黒で、37号目の東北食べる通信をお届けします。

創刊からまる3年が経過し、4年目に突入しました。3年前の2013年7月号宮城県石巻市牧浜の「完熟牡蠣」はデザインだけで一号つくるのにまる一ヶ月以上はかかり、ろくな文字校正もしておらず(そんな概念すら無かった)細かいところをみると、たぶん、ひどいありさまでありました。(しかし、かけがえのない思い出の創刊号でもあります)37号つくってくる間に、製作関係者は増え、良くも悪くもルーチンというか、決まった時間の中でコンスタントに一定クオリティを保つ。ということができるようになり、今月もまたみなさんに東北の食の物語をお届けすることができます。

高橋編集長と、最初の最初にこれをつくるという話になったとき「毎月必ず現場に行かせてほしい」と、頼みました。これは、どの地域のクライアントにも共通してお願いしていることで、現地にいって、空気を吸い、どういう文化がそこに根付いてきたのか、どういう地形で、どういう自然環境なのかを把握しないと、その土地が発している言葉を汲み上げないと、エディトリアルデザインとして表現できないからです。いろいろあって今月は僕自身で一枚も写真を撮れていないけども、やはりあの十三湖の冷たい風を肌身に受けてきて良かったなあ、と、思う。



前号へ
次号へ