野本さんのラ・フランスは花だった5月から数えて計3回通った。丁度5月号蔵王ハーブの取材(5月3日)の前日に花を撮影していた。2回目は収穫のとき、3回目は出荷のとき。農産物はいきなり収穫のタイミングで取材をしても、それがなぜそうなったのか立体的に把握することが難しく、また誌面の写真構成の上でも何度も現地に行けると有り難いのである。取材の中で、野本家のキヌエばーちゃんに「さつまいもを甘辛く炊いただけ」という食べものをご馳走になり、またそこに山形の味を見つけてしまった。山形県は行く度に、なにかしら天童出身だった祖母の味を再発見する。戦争の前に東京に出てきて以来、完全東京ナイズされてたと思っていた祖母の中にあった、微妙な山形の味の片鱗を、毎度毎度少しづつ発見する。味の記憶というのは残酷なまでに語りかけてくるものがある。



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