東北食べる通信12月号の入稿が完了。2017年、最後の最後で最も濃密な編集が出来た。この地域の味わい深い濃厚な雰囲気を表現することは、東北に来たばかりの4年前では難しかったと思う。東北新幹線二戸駅を降りたときの何も無さ、さらには車で九戸村中心部へ向かっても、ぱっと見なにもなく、特に11月に入ってからはセピア色で寒々しい風景が広がるばかりのこの土地らしさについて、二度の現地取材と、4年前に訪れた短角牛で有名な隣村である山形村でかつて見た、素朴な木人形の造形が浮かび上がって見えてきた。

この土地らしさを春夏秋冬で単純に表しても、あまりぱっと見えてこないような気がした。ここらしさのほとんどは、「冬をどう過ごすか」ということに関係している。11月から4月までの約半年が冬の雪に閉ざされる為、そういう思考が強くなるのだが、北東北三県、岩手でもこのあたりまで来ると、ほぼその一点に集約されてくる。普段、関東(をふくむ)以西の都市に暮らしていると、冬というのは乾燥していて、ついついエアコンの暖房をつかってしまって、乾いた空気で喉がカラカラ、みたいな暮らしをしているところからすると、冬の雪国の寒さについて、真っ暗な想像しかできなくなるのだが。しかし、この豪雪地帯においては、冬の間いかに物理的にも精神的にも暖かく暮らせるかということに、先人達のあらゆる知恵が注ぎ込まれてきたのだろう。そんなわけで、冬の雪国に蓄積されてきた文化は、我々都市に暮らす人間の想像が及ばない豊かさと潤いがあるのです。例えば「かっけ」や「はっと」や「ひっつみ」や「せんべい汁」と呼ばれる、小麦粉練り物系の汁物の暖かさは、マイナス10℃マイナス15℃の世界を歩いた後に、凍える手で頂くとなんと有り難いことか。それがひいては人間味にもにじみ出てくるし、木人形や村の家々の造形や風景にも現れてくるのだろう。

「日本中を巡ってみて、一番良い田舎はどこですか?」みたいな質問をされると、必ず「冬の雪国」って答える。こればっかりは体感してみないとまるで解らない世界なので、行ってみて味わうしかない。蟹でも、酒の味でも、現場の気温と湿度の中で味わうのと、ECで取り寄せただけのものを味わうのでは、天と地ほどの差がある。春夏秋冬の四つの季節の中で、最も奥が深いのが冬だと思う。









手打胡桃の木。同じ場所の秋と冬 ↑9月22日撮影、↓11月30日撮影