A1サイズパネル


岩手県遠野市綾織。「勝手に公共事業をやっているんです」と、農家の伊勢崎さんは、見学にやってきていた遠野市の職員の方を前に言った。ああ、なるほどそういうことか。と。じゃあまずそのやりたいと思っている公共事業を地図に描いてしまいましょうよ、ということでトップページのヴィジュアルができた。背景の元となっている航空写真は、パラグライダー乗りの伊勢崎さんが、いつも空から見ている風景である。わざわざこのパースで撮りたい為にモーターパラグライダー乗りの友人に頼んで、撮ってもらったそうだ。その上から白いペンで、いや、マウスで、伊勢崎さんのヴィジョンを絵で書いてみた。

そもそもは、ゲストハウスを岩手の遠野につくる云々という話だったけれど、聞いていくうちにどうも壮大なヴィジョンがあるということが見えてきた。ここは、そのゲストハウスづくりや(2016年夏完成予定)これからの活動の報告の場所となります。確か次はJR釜石線 岩手二日町の駅前に事務所兼お客さんお迎えの建物をつくり、そして馬車で子供を保育園へ送るのだとか。

これからも定期的に通って遠野の写真を撮り続けたいと思いつつ。最近は、デザイナーというか写真屋というか、どちらかというとランドスケープの部類の仕事をしてるんじゃないだろうかと思うときが多々あります。田舎のこれからの青写真を、あちこちで見ているとゲストハウスが流行っているなあ、とか、同じように見える部分もありつつ、その土地土地にいる神様は、まったく別物だということも見えてくるわけです。

それから、この仕事を通じて知り合った栃木県益子の建築家 町田泰彦 さんによる文をつくる過程で「都市の人は、馬って言ってしまうと解りやすくなってしまうけれど、大事なのはそれだけじゃないよね」と、ひとつの方向性を導き出してくれました。

十六回目の夢
http://umakura.jp/16dreem/
(ちなみに十六回目というのは、農家伊勢崎さんが16代目の農家であるということだそうです。16回生まれ変わっても農家を続けていることの意味、とか、そういうニュアンスではないかと)


以下、このパネルをつくるに至った、伊勢崎さんが語る遠野のヴィジョン書き起こし



窒素をエネルギーとして、植物だったり生物が食べるんですよ。窒素を栄養素として植物とか微生物が分解して水が浄化されていっていたのが、水路が三面コンクリートになってしまったので、生き物が住めなくなってしまって、本来あった水の浄化機能がなくなっているのではないか。徳島大学の先生が、このインフラをすべて直すとなると膨大なお金がかかるんだけれど、排水する水の遊水池をつくる、例えば本流に注ぎ込む前の田んぼの何ヘクタールかを、浄化するための植物を繁茂させて水を綺麗にするとかしたらいいんじゃないかな、って先生も言っていましたね。それが一番原始的な所。遊水池っていうのは水を綺麗にするフィルターみたいな場所。

菊地くんも僕も、馬が居る生活をここでやってくってなると、いまの全体の土地利用的に、馬が飼えるようじゃなくなっている。昔はこの辺は草が生えてたり、馬を放牧したりそういう場所だったんだけれど、全部杉に植林されてるんですよね。段々畑になってたところも全部杉になってしまった。山の上の方のカラマツが植林されてるところは、昔はツツジだったんだって。

ある程度の中の地域の経済をつくっていくっていうのが前提にあって、目の前に山谷川って川が流れてるんだけれど、ここの小さな流域。川の恩恵を受けている中の、暮らしを考えていくっていう一つの役割。都会の人が素敵だね、山の幸があって、美味しい物があって。でも田舎の人は、なんでわざわざこんな不便なところに来たの?ってなる。ギャップ。このゲストハウスは、この地域をどうしていこうと地元の人が考える場所。ゲストハウスっていう名前もまだぜんぜん考えれてないんだけれど、一般的にはドミトリーって安く共同で不特定多数の人が泊まれるっていうイメージがあるけれど、そうじゃなくて、例えば家族でもいいし、友人同士でもいいし、会社の同僚でもいいから、大切な時間を一緒に過ごしたい人がここに来て。このゲストハウスは電気もガスも無いっていうコンセプトなんで、それでここの中でそういう暮らしを体感して、帰っていくと。

日々の暮らしがこの空気をつくっているから、ここに来る人達も、一日泊まって、日々いろんな人がここに暮らしていくわけですよ。ここに来たいろんな人がここの風景をつくっていく。かまどでご飯を炊いたら、つかった分の薪は割ってから帰ってね、と。そこらにある大根抜いて食べてったら、食べた以上の大根の田種を蒔くのか、あるいは雑草を抜いて帰ってってね、と。次の人のためにね。自分が単純にお金を払って消費しに来るんじゃなくって、もちろんお金払ってもらうんですよ。払ってもらった上で、次のことも考える消費の仕方をする。

グランキャンプ。テレビでやってたんだけれど、豪華なキャンプ?すっごいくだらねえと思って。一方的に消費に行くだけだから。それと違って、消費した分をちゃんと次の人のために繋いでくっていうのがここでの役割だと思っていて。単純に消費したい人がジャンジャン来て、僕の懐が豊かになってもしょうがないわけですよ。

ちょっといまね、僕考えてるのは、例えば、市の水道って、アクアって別会社になってるんですか?あれ。でもまあ基本的に遠野市ですよね。遠野市って水道料金高いじゃないですか。でも水道事業って昭和40年代にけっこう盛んに行われて、でも昔は自分達で取水したり。それだとお金払わなくていいじゃないですか。そういうのもありつつ、いまスマートシティって行政がインフラにお金をかけなくても住めるようなことを国土交通省とかやってるんですが。ここはここでありつつ。水道とかも40年から50年でインフラの更新の時期を迎えるんだけれど、インフラを更新しないで新たにここから川で取水して、下の川にも分配していけるような。そんなこともやっていこうと思ってるんですよ。僕の中では公共事業だと思ってやってて。遠野市に行って何度も何度も話してるんだけれど進まない。

民間の人達ってもっともっと早くやりたいんですよ。予算が付くからやる。とかじゃなくって、いますぐ必要だからやらなきゃいけないんだけれど。移住した人もけっこういるんですけど、いまの住宅の事情見てるとけっこう空家あるんだけれど、入るまでの案内がけっこううまくいってなくて、人が増えれば地方交付税増えるんだけどね、だから勝手に公共事業をやってる感じなんです。





URL >> http://umakura.jp

Data : 2016.02
Client : 一般社団法人 馬と暮らすまち遠野
Web design : 玉利康延
Cording : 山下雄登
Text : 伊勢崎克彦, 町田泰彦
Photo : 玉利康延, 山下雄登